給料(きゅうりょう)のルールSalary / Wages
Q給料のはらい方の「5つの原則」って なんですか?▼
労働基準法24条で決まっている、給料の基本ルールです:
- 通貨(お金)ではらう — 銀行振込は 本人がOKしたときの方法です。
- 本人に直接はらう — あなた本人の口座に入ります。
- 全額はらう — 引いていいのは、法律で決まったもの(税金・社会保険)と、労使協定+本人同意があるもの(寮費・食費など)です。
- 毎月1回以上はらう
- 決まった日にはらう — 支払日は契約書に書いてあります。
Q「締め日(しめび)」と「支払日(しはらいび)」の見方を教えて▼
給料は「締め日までの働きを、支払日にはらう」しくみです。
はじめての給料が おそく感じるのは このためです(会社がごまかしているのではありません)
契約書(労働条件通知書)に必ず書いてあります。残業代も「締め日までの分」が次の支払日に入るので、今月の残業が来月の明細に出るのはふつうのことです。
Q月給の人が 最低賃金をチェックする方法は?▼
月給の人は「時給に直して」くらべます。
例:基本給17万円、年間労働日数245日、1日8時間の場合
245日 × 8時間 ÷ 12か月 = 163.3時間/月
170,000円 ÷ 163.3時間 = 時給 約1,041円
→ 自分の県の最低賃金と くらべる
自分の県の金額:地域別最低賃金(厚生労働省)。毎年10月ごろに変わります。
Q給料から 引かれている お金は なんですか?▼
■ 法律で決まっている控除(みんな引かれます)
- 所得税:国の税金。毎月の給料から少しずつ前ばらい(源泉徴収)
- 住民税:住んでいる市の税金。去年の収入に対して かかる(だから入社2年目から急に引かれ始めます)
- 健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料:社会保険。病院代が3割になる、老後・失業にそなえる保険です
■ 労使協定+本人同意で引かれるもの
- 寮の家賃・水道光熱費
- 食事代(実際に利用した分)
Q「固定残業代(みなし残業)」って なんですか?▼
「毎月○時間分の残業代を、最初から給料にふくめて はらう」しくみです。
- 契約書・給与明細に「何時間分で いくらか」が書いてあります
- その時間まで残業しなくても、固定残業代は満額もらえます(減りません)
- その時間をこえて働いた月は、こえた分が追加ではらわれます
残業10時間の月 → 3万円そのまま
残業30時間の月 → 3万円 + 10時間分の追加
Q残業時間の「端数(はすう)」は どう計算されるの?▼
残業時間は1分単位で計算するのが原則です。そのうえで、事務処理として認められている丸め方があります:
月の残業合計が 12時間40分 → 「13時間」で計算
「明細の残業時間が自分のメモと数十分ちがう」ときは、この月末の丸め処理が理由のことが多いです。
働く時間のルールWorking Hours
Q「法定(ほうてい)」と「所定(しょてい)」の時間、なにが ちがう?▼
この2つの区別が、残業代を理解する いちばんのカギです。
- 法定労働時間 = 法律の上限。1日8時間・週40時間。
- 所定労働時間 = あなたの会社が決めた時間。例:「9:00〜17:30(休憩1時間)= 7.5時間」。
8時間をこえた1時間 → 法定残業(25%増し)
Q「変形労働時間制(へんけいろうどうじかんせい)」って なんですか?▼
忙しい時期と ひまな時期がある仕事(農業・食品工場・建設・観光など)で使われる、「ならして週40時間ならOK」という法律の制度です。イレギュラーなシフトの正体は だいたいこれです。
■ 1か月単位の変形制
- 1か月の中で ならして週40時間以内にする
- 忙しい週は 週45時間働いても、その週だけでは残業あつかいにならないことがある(事前のシフトどおりなら)
■ 1年単位の変形制(会社カレンダーの会社は これが多い)
- 1年をならして 週平均40時間以内にする
- 上限:1日10時間まで・週52時間まで
- 労働日数は 年280日まで(対象期間が1年の場合)
- 連続勤務は 原則6日まで
Q36協定(サブロクきょうてい)って なんですか?▼
1日8時間・週40時間をこえて働くために、会社が労働者代表と結んで 労働基準監督署に出す約束です。残業がある会社には必ずあります。
■ 原則の上限
- 残業は 月45時間・年360時間まで
■ 特別条項(とくべつじょうこう)つきの場合(繁忙期のための特別な約束)
- 残業は 年720時間以内
- 残業+休日労働で 1か月100時間未満
- 残業+休日労働の 2〜6か月平均が すべて80時間以内
- 月45時間をこえられるのは 年6回まで
Q休憩(きゅうけい)のルールを くわしく▼
- 労働時間が 6時間をこえる → 45分以上
- 労働時間が 8時間をこえる → 60分以上(残業して8時間をこえる日も)
- 休憩は 労働時間の途中にとります
残業(ざんぎょう)のお金Overtime Pay
Q割増(わりまし)の組み合わせを ぜんぶ教えて▼
| 働き方 | 割増率 | 時給1,200円なら |
|---|---|---|
| ふつうの残業(8時間超) | +25% | 1,500円 |
| 残業が月60時間をこえた分 | +50% | 1,800円 |
| 深夜(22時〜5時)だけ | +25% | 1,500円 |
| 残業 + 深夜 | +50% | 1,800円 |
| 法定休日 | +35% | 1,620円 |
| 法定休日 + 深夜 | +60% | 1,920円 |
Q残業代の「1時間あたりの単価」は どう計算する?▼
② 基礎時給 × 1.25(や1.35)= 残業単価
例:基礎になる月給18万円・月平均160時間
180,000 ÷ 160 = 1,125円 → 残業1時間 = 1,406円
①に入れない手当(法律で決まっています):家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時のお金・ボーナス。
休日と 会社カレンダーDays Off / Company Calendar
Q「法定休日」と「所定休日」の ちがいは?▼
- 法定休日 = 法律が義務づける休み。週1日(または4週で4日)。ここに働いたら +35%。
- 所定休日 = 会社が決めた それ以外の休み。土日休みの会社なら、片方が法定・もう片方が所定。
その週の労働が40時間をこえた分に 残業25%がつく
(「休日出勤なのに35%じゃない!」のカラクリは これ。まちがいではありません)
Q祝日・お盆・年末年始は 休みじゃないの?▼
おどろく人が多いのですが、祝日を休みにする義務は 法律にはありません。
- 祝日・お盆・年末年始・GWが休みかどうかは 会社カレンダー(就業規則)で決まります
- 工場は「祝日は出勤、そのかわり夏と年末に長い連休」というパターンが多い
- 祝日に働いても、法定休日でなければ 35%割増はつきません(週40hをこえた分は25%)
Q「年間休日105日」って よく見るけど、どういう意味?▼
1日8時間働く会社の、法律にもとづく最低ラインがだいたい105日です。計算で出せます:
2,085時間 ÷ 1日8時間 = 年間労働日数 約260日まで
365日 − 260日 = 年間休日 105日
| 年間休日 | どんな会社? |
|---|---|
| 125日〜 | 土日祝+連休がぜんぶ休みのイメージ |
| 110〜120日 | 土日休み中心。ふつう〜多め |
| 105日 | 1日8時間の場合の最低ライン |
| 105日未満 | 1日の所定時間が8hより短い/変形制の会社 |
Q会社カレンダーの 見方を教えて▼
1年単位の変形労働時間制の会社カレンダーは、この4つを見れば全体がわかります:
- 年間労働日数 — 1年で何日働くか(変形制なら280日以内で組まれています)
- 1日の労働時間 — 日によって8時間の日・9時間の日など ちがうことがある(上限10時間)
- 忙しい月・ひまな月 — 繁忙期は出勤が多く、閑散期に連休でバランスをとる
- 大型連休の位置 — 夏休み・年末年始が何日あるか
Q「振替休日(ふりかえ)」と「代休(だいきゅう)」は 何がちがう?▼
にているけど お金の計算が ちがいます。
| 振替休日 | 代休 | |
|---|---|---|
| 決めるタイミング | 働く前に「日曜と水曜を交換」と決める | 休日に働いたあとに かわりの休みをとる |
| 休日割増35% | つかない(休日が移動しただけ) | つく(休日に働いた事実はのこる) |
Q連続勤務は 何日まで ありえますか?▼
- 基本ルール:週に1日の休み(または4週間に4日)
- 1年単位の変形制の会社:連続勤務は原則6日まで。特に忙しい「特定期間」は例外的に長くなることがあります(それでも週1日の休みは確保)
有給休暇(ゆうきゅうきゅうか)Paid Leave
Q何年働いたら 何日もらえる? 表で教えて▼
条件は「6か月つづけて働いた+その間の出勤率80%以上」です。
| 働いた期間 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年〜 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| もらえる日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
Q有給の日の給料は いくら もらえるの?▼
会社が就業規則で決めた方法により、次のどれかで計算されます:
- いつもどおり働いたとした給料(いちばん多いパターン)
- 平均賃金(直近3か月の平均)
- 健康保険の標準報酬日額(労使協定がある場合)
Q「年5日」の有給は どういうしくみ?▼
有給が年10日以上ある人は、1年に5日は必ず有給をとることが法律で決まっています(2019年〜)。
- 会社が「この日に有給をとってください」と日を指定することがあります(取得日の指定)
- 会社全体で「この日はみんな有給」と決める計画年休という制度もあります(労使協定による)
Q半日だけ・1時間だけ 有給は使える? 買い取りは?▼
- 半日単位:会社が制度を作っていれば使えます
- 時間単位:労使協定があれば 年5日分まで 1時間きざみで使えます
- 買い取り:原則禁止(休むための制度だから)。時効で消える分などを会社が任意で買うケースはありますが、会社に買い取りの義務はありません
契約(けいやく)のルールContract
Q働きはじめる前に もらう書類は なんですか?▼
「労働条件通知書(ろうどうじょうけんつうちしょ)」です。あなたの働き方のすべてが書いてある、いちばん大事な書類です:
- 給料の金額・締め日・はらう日
- 始業・終業の時刻、休憩、休日、残業の有無
- 仕事の内容と 場所
- 契約の期間、更新のルール
Q就業規則(しゅうぎょうきそく)って なんですか?▼
会社の働き方のルールブックです。10人以上の会社には必ずあります。
- 休日・休暇のルール、有給の計算方法
- 給料・手当・賞与の決まり
- 服装・安全・設備の使い方のルール
退職(たいしょく)するときの税金・控除Tax & Deductions at Resignation
Q最後の給料が いつもより 少ないのは なぜですか?▼
会社がまちがえたのではなく、税金と保険のしくみで最後の給料は控除が多くなりがちです。理由は主に3つ:
① 住民税の一括徴収(いっかつちょうしゅう)
- 住民税は「去年の収入」への税金を、今年の6月〜来年5月に分割で後ばらいしています
- 1月〜5月に退職 → 5月までの残り全部を、最後の給料からまとめて引くのが原則(法律のルール)
- 6月〜12月に退職 → 一括で引いてもらうか、あとで自分ではらう(普通徴収)かを選べます
→ 最後の給料から 1万円 × 4か月 = 4万円が引かれる
(いつもより3万円多く引かれて見える)
② 社会保険料が2か月分になることがある
- 社会保険料は「前の月の分」を給料から引くしくみの会社が多い
- 月末に退職すると、その月の分まで保険料が発生 → 最後の給料で前月分+当月分の2か月分が引かれることがあります
③ 日割り計算
- 月の途中で退職すると、給料は働いた日数分の日割りになる一方、引かれるものは満額のことがある
Q帰国するとき、税金は どうなりますか?▼
■ 住民税
- 帰国しても、去年の収入への住民税は のこっています
- 出国前に のこりを一括ではらうか、日本にいる人(会社や知人)を「納税管理人(のうぜいかんりにん)」にして かわりに手続きしてもらいます
- 1月1日に日本に住んでいた人は、その年の住民税がかかります(出国後に通知が来る理由)
■ 所得税
- 年の途中で帰国する場合、出国前に年末調整または確定申告をすると、はらいすぎた所得税がもどることがあります
■ 年金(脱退一時金)
- 帰国後2年以内に請求すると、はらった厚生年金の一部が「脱退一時金」としてもどります
- 受けとるときに約20%の所得税が源泉徴収されますが、納税管理人を通じて確定申告すると 一部還付される場合があります
Q源泉徴収票(げんせんちょうしゅうひょう)って なんですか?▼
「今年いくら給料をもらって、いくら税金をはらったか」の証明書です。
- 退職したら 1か月以内に会社からもらえます
- 次の会社に出すと、年末調整をまとめてやってもらえます
- 確定申告・脱退一時金の還付手続きでも使います
Q入社2年目から 住民税が引かれ始めたのは なぜ?▼
住民税は「去年1年間の収入」に対して、翌年の6月から引かれ始めるしくみだからです。
2年目の6月〜:1年目の収入に対する住民税が スタート
→ 「手取りが急に減った!」と感じるのは このため
ここに書いてあるのは、日本の労働基準法・税金などの「基本のしくみ」を やさしく説明したものです(2026年時点)。法律や制度は変わることがあり、会社の就業規則や あなたの契約内容によって答えが変わる場合もあります。くわしいことは 会社の担当者や専門の窓口に確認してください。このサイトは法律相談(リーガルアドバイス)ではありません。